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不動産投資の融資における融資期間の重要性とは?

不動産投資を行う上で、金融機関からの融資を検討されている方もいらっしゃると思います。
融資先を決める上では様々な事項を検討する必要がありますが、「融資期間」も重要な要素です。

融資期間とは、金融機関が物件購入のための融資を決めたときに、将来、元本と利息を完済するまでにかかる予定の期間のことです。
同様の意味で「融資年数」「返済期間」「借入期間」などとも呼びます。

では、なぜ融資期間が不動産投資の成功を左右するほど重要といえるのでしょうか。
本記事では、不動産投資の融資における融資期間の重要性について解説していきます。

A.不動産投資の融資を受ける上での融資期間が長い場合と短い場合

不動産投資にとって、金融機関の力を借りて融資を受けることは、自己資金に対して数倍ないし数十倍のレバレッジをかけられるメリットがあります。
自己資金だけでは手が出なかった高額の物件に初期投資できたり、キャッシュフローに余裕を持って取り組んだりできるでしょう。

本項では、不動産投資の融資期間が長い場合と短い場合について、それぞれに考えられる主なメリットと注意点をご紹介いたします。

なお、ご紹介する内容は「同じ金額」の融資を受ける前提で、融資期間が長い場合と短い場合の比較としてご参考にしていただければと思います。

 

メリット

注意点

融資期間が長い場合

返済額が少ないため、キャッシュフローは短期融資と比べて多くなる

長期にわたって返済するため、利息負担が多くなり、返済総額も多くなる

融資期間が短い場合

利息負担が少なくなるため、返済総額も少なくなる

返済額が多くなるため、キャッシュフローは長期融資に比べて少なくなる

A-1.不動産投資の融資期間が長い場合

メリット

同じ額の融資を受ける前提においては、融資期間が長ければ長いほど、毎月の返済額の負担を減らすことができます。

返済額が少ないため、キャッシュフローは短期融資と比べて多くなるでしょう。

一時的に家賃収入が減少する時期があっても耐えられますし、余裕資金を貯めて別の物件に再投資するなど、将来的に採れる選択肢も増えます。

注意点

同じ額の融資を受ける上では融資期間が長ければ期間分の利息が増えるため、最終的な返済総額は大きくなります。

返済する総額だけを比べて融資期間を決めるべきではありませんが、注意点として抑えておきましょう。

A-2.不動産投資の融資期間が短い場合

メリット

同じ額の融資を受ける上で融資期間が長い場合と比べると、期間が短い方が利息に応じて返済する総額は少なくなります。

ただし、その分毎月の返済額が大きくなるので注意が必要です。

注意点

融資期間が短い分、毎月の返済額負担が重くなります。
キャッシュフローに余裕が生まれにくいため、不安定な不動産運用に陥りやすくなるでしょう。

空室が発生した場合や予期せぬ修繕費が発生した場合に備えて、毎月の家賃収入の金額をある程度、口座に置いておくことをおすすめします。

B.融資期間の長さは、どのようにして決定されるのか?

続いて、融資期間の長さがどのように決定されるのか解説していきます。

B-1.投資全般における融資期間を決める要素

一般論としては、金融機関による審査によって信用度が高いと認定された投資家ほど、長い融資期間の設定が認められる傾向があります。

ここでいう信用度は、端的に言えば、将来にわたって安定的な収入を得られる可能性を指します。
もし、融資相手が投資家でなければ、毎月の収入が読めない起業家よりも、毎月の収入がある程度読みやすい会社員のほうが、金融機関にとっての信用度が高まりやすいでしょう。

B-2.不動産投資における融資期間を決める要素

一方、融資相手が不動産投資家であれば、投資物件である建物の「法定耐用年数」が融資期間を決める要素としては重要視されます。

法定耐用年数とは、税務に関する用語であり、事業で使うために購入した固定資産が、一般的にどれほどの年数にわたって満足に使用可能なのかを、固定資産の種類別に定めたものです。
この年数は、実際の建物の寿命を示すものではなく、税務上は減価償却の処理に使う目的で設定されます。

たとえば、新築物件を購入したと仮定した場合、法定耐用年数は次の通りとなります。
(※2021年現在)。

 建物の構造・用途

耐用年数

木造・合成樹脂造の住宅用

22年

木骨モルタル造の住宅用

22年

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅用

47年

れんが造・石造・ブロック造の住宅用

38年

金属造の住宅用

19~34年(骨格材の肉厚によって変動)

参考:国税庁 耐用年数(建物/建物附属設備)
https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html

金融機関は不動産投資における融資を行う際に、抵当権を設定します。
融資を受けたオーナーが返済できなくなった場合、金融機関は抵当権を行使して不動産を売却することで返済額を充てんします。
そのため、物件の法定耐用年数は融資期間を決める上で重要視されます。

なお、中古物件を購入した場合、法定耐用年数から購入時点の築年数を差し引いた「残存耐用年数」を基準にすることが多いため、注意が必要です。

B-3.耐用年数と融資期間が一致するとは限らない

不動産投資の融資期間を決める上で、金融機関は物件の法定耐用年数や残耐用年数を重要視します。

ただし、耐用年数が融資期間と一致するとは限りません。
金融機関によっては経済耐用年数として、建物の使用価値に応じた期間を設定することもあります。

耐用年数が重要視される理由として抵当権の解説を前項で行いましたが、金融機関は融資する上で、「貸し倒れが発生した際に物件を売却することで残額を回収することができるのか」が大きな判断基準のひとつとなります。

そのため、金融機関は物件の担保価値を慎重に見極め、物件の耐用年数に対して融資期間が短く設定されるケースもあります。

例えば、同程度の耐用年数であったとしても、需要が高いと見込まれる地域の物件と、需要が低いと見込まれる地域の物件では融資期間の設定に違いはあるでしょう。
不動産投資の初心者で実績が乏しく信用が低いと判断された場合も、耐用年数と比べて融資期間が短くなることもあります。

C.不動産投資を行う上では融資期間も重要視しましょう

不動産投資の融資における、融資期間の重要性について解説しました。

融資期間の長さは不動産投資を行う上で、非常に重要となります。
また、融資期間を決める上では物件の耐用年数という基本的な要素はありますが、あくまでも決めるのは金融機関であり、任意にコントロールすることは難しいでしょう。

不動産投資の計画段階から密接に関わる内容ですので、初心者の方は不動産会社に相談してみるのもひとつの手段です。
不動産会社が金融機関と提携している場合は融資に関しての相談にも対応してもらえる可能性があるので、まずは問い合わせてみることをおすすめします。