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不動産投資で税務調査が入る可能性はある?気を付けたいポイントもあわせて解説

これから不動産投資を始めようと情報収集をする中で、「不動産投資を行っていたところ、税務調査が入った」という体験談の記事に行き着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「不動産投資をしていると税務調査に入られるかもしれない」と不安に思われている方に向けて、本記事では不動産投資において税務調査に入られるかもしれない可能性と気を付けたいポイントについて解説いたします。

A.不動産投資で税務調査に入られることはある?

まず前提として、不動産投資を行っていると税務調査に入られる可能性はあるのでしょうか。
税務調査の基本的な知識を抑えておくと答えが見えてきます。

A-1.税務調査の基本的な知識

そもそも税務調査とは

税務調査は国税庁管轄の下で行われる調査です。

納税の申告内容に関して正しいか否かを帳簿書類等で確認して、内容に誤りがあると判断した場合や、申告義務があるにも関わらず申告していなかったことが判明した場合に是正を求めるものです。

なお、税務調査にあたっては原則として納税者と該当する場合は税務代理人いずれにも対して事前通知が行われます。

参考:国税庁の税務調査の概要
https://www8.cao.go.jp/chosei/dokkin/kaisaijokyo/mtng_4th/mtng_4-3.pdf

税務調査の種類

税務調査は大きく分けて下記の3種類に分かれます。

調査の種類

概要

実地調査(特別調査・一般調査)

高額であったり悪質であったりする不正計算が見込まれる申告に対して行う調査。
特に特別調査は、多額な脱漏が見込まれる個人に対して長期間(目安としては10日以上/1件)実施する。

実地調査(着眼調査)

資料や申告内容に基づいて申告漏れ等が見込まれると判断した個人に対して短期間、実地で行う調査。

簡易な接触

原則として実地で調査は行わず、文書や電話による連絡、または税務署で申告内容を是正するもの。

参考:国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

A-2.不動産投資をしている人が税務調査の対象となる可能性

前述のとおり、税務調査は納税の申告内容に対するものです。
そのため、不動産投資で収入を得て納税の申告をしている場合においては、税務調査が入る対象となります。

法人、個人単位での実施割合

ただし、不動産投資に限った話ではありませんが、統計データから法人・個人単位で税務調査の実施割合に差があるとわかります。
国税庁の2018年1月付けで公表している「税務行政の現状と課題」において、2016年の実調率は下記の通りとなっています。

  • 法人:3.2% 
  • 個人:1.1%

※実調率=実地調査件数÷対象法人数、税額のある申告を行った納税者数

参考:国税庁 税務行政の現状と課題(2018年1月)
https://www.nta.go.jp/about/council/shingikai/180124/shiryo/pdf/04-1.pdf

法人と個人の納税対象の母数を比較した場合、圧倒的に個人が多いため割合として差異が生じるのは当然ではありますが、個人の税務調査(実地調査)の確率が法人に比べて低いといえるでしょう。

税務調査の実績からみる不動産投資における留意点

国税庁の「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」には当該年度における税務調査の実績の概要がまとめられています。

この資料内には参考として「譲渡所得の調査等の状況」があります。
譲渡所得の令和元事務年度の件数は13,221件で、同年度の調査合計件数430,923件に対して、約3%を占めています。

参考:国税庁 令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2020/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

一見すると少ない割合に思われるかもしれませんが、譲渡所得の実績として別項目で設けられており、内訳には「土地建物等」が挙げられている以上、注意しておくべき内容でしょう。

不動産投資においては出口戦略として物件を譲渡したり、物件を譲渡してもらって運用を始めたりする方法があります。
この方法を検討されている方は、確定申告の際に特に気を付けるようにしましょう。

B.不動産投資における税務調査で気を付けておきたいポイント

不動産投資を行う上では不正さえなければ税務調査を過度に恐れることはありません。
そもそも不正を行うこと自体あってはならないことであって「税務調査に入られないようにするために不正を働かない」ではない旨を十分にご承知ください。

とはいえ、なんらかの手違いによって税務調査が入ることも考えられます。
どのようなことに気を付ければ良いのか、ポイントをチェックしていきましょう。

B-1.証拠を残しておく

税務調査では何よりも証拠が効力を発揮します。
日頃から取引内容の証拠をきちんと残しておくようにしましょう。

なお、経費として計上するものを購入したりお金を支払ったりした場合は、領収書を忘れずにもらう必要があります。
税務調査の際に提出を求められるケースがあるため、なくなさいように保管しておきましょう。
コピーを取り詳細をメモしておくとさらに安心です。

また、領収書は法律上、確定申告を終えた後に保管しておくよう義務付けられています。
法人の場合は原則7年間、例外として赤字が発生した事業年度については9年間もしくは10年間保管する必要があります。
個人の場合は原則青色申告の場合は7年間、白色申告の場合は5年間保管しておかなければなりません。
ただし、消費税の課税事業者となっている個人事業主は、白色申告の場合でも領収書を7年間保管義務があります。

このように領収書の保管期間についても定められているため、よく確認をするようにしましょう。
なお、領収書の保管期間の起算点は、法人の場合は「事業年度の法人税申告期限日の翌日」、個人の場合は「確定申告期限日の翌日」となります。
領収書の発行日から起算とはならないことに注意しましょう。

B-2.通帳を個人・事業で別々にする

個人で不動産投資を行う場合、経費とプライベートな支出の区別がつきにくくなることもあるでしょう。
そこで、通帳を個人用と不動産投資用とで分けて用意する方法があります。

これにより、不動産事業でのお金の流れが一目で把握しやすくなり、確定申告の際にも手間が少なくなります。
税務調査で通帳を要する際にもすぐに対応できるでしょう。

B-3.財務と収支の管理を徹底する

日頃から財務や収支の管理をきちんとするように習慣づけることが重要です。
税務調査以前に不動産投資を行う上で収支管理は必須ではありますが、税務調査で細かく見られやすい売上や経費は正確に計上しておくと安心です。

C.不動産投資においても収支管理は徹底しましょう

不動産投資における税務調査について解説いたしました。
税務調査は不正なことをしていなければ過度に恐れる必要はありません。
とはいえ、申告ミスなどにより税務調査に入られる可能性も否定できます。

収支の管理は不動産投資を行う上で欠かせないこととはなりますが、申告ミスをしないためにも、また万が一の税務調査のためにも、普段から徹底するようにしましょう。