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不動産投資信託(REIT)と実際の不動産投資、初心者にはどちらがおすすめ?

不動産投資信託(REIT)と不動産投資ではどちらが自分にとって適しているのか、迷っている方も多いのではないでしょうか?

このページでは以下のテーマを中心に解説します。

  • 不動産投資信託の仕組み
  • 不動産投資のメリット・デメリット
  • 不動産投資信託と不動産投資、それぞれに向いている人

不動産投資信託と不動産投資のいずれかを始めようと検討している方はぜひ参考にしてみてください。

 

A.不動産投資信託とは

不動産投資信託とは、投資家から集めた資金によってマンションやオフィスビル、商業施設などの不動産を購入し、家賃収入や売却利益を投資家に分配する商品です。

不動産投資信託は1960年にアメリカで始まり、「Real Estate Investment Trust」の頭文字をとってREIT、日本では「J-REIT」と呼ばれてます。

 

A-1.不動産投資信託の仕組み

不動産投資信託は不動産投資法人を設立し、不動産への投資や運用を行います。しかし不動産投資法人は不動産の投資や運用以外の業務を直接行うことが禁止されています。

その他の業務は主に以下の3つの会社に委託しています。

  • 資産運用会社
  • 資産保管会社
  • 事務受託会社

資産運用会社は投資する不動産の選定や賃貸戦略などの決定を行います。他にも資金調達や不動産価値維持のための修繕計画の立案を行います。
資産保管会社は保有している不動産管理を行います。事務受託会社は投資証券・投資法人債の募集や発行、名義の書き換えなどの事務を行う法人です。

投資対象は幅広く、マンションやオフィスビル、ホテル、商業施設、倉庫などがあります。

不動産投資信託は大きく分類すると「単一用途特化型REIT」と「複数用途型REIT」の2つに分けられます。

「単一用途特化型REIT」は、特定の用途の不動産に絞って投資するものです。住宅特化やオフィスビル特化、ホテル特化、商業施設特化などがあります。

「複数用途型REIT」は、複数の用途の不動産に投資するもの。2つの不動産に投資する複合型REITと、3つ以上の不動産に投資する総合型REITがあります。

 

A-2.不動産投資信託のメリット・デメリット

不動産投資信託のメリットは以下のとおりです。

  • 資金が少なくても始められる
  • 不動産を実際に所有・運用する必要がない
  • 分散投資ができる

 

〇資金が少なくても始められる

商品の種類によりますが比較的少ない資金で始められますので、資金面においては気軽に始められる投資といえるでしょう。

 

〇不動産を実際に所有・運用する必要がない

不動産投資信託では証券を購入し不動産運用の利益を手に入れるので、直接不動産を所有するわけではありません。
不動産の購入や管理は専門の会社に委託するので、自ら運用する手間が省けるでしょう。

 

〇分散投資ができる

不動産投資信託には複数の不動産への投資が可能です。先述した「複数用途型REIT」のように複数の用途の不動産を一度に分散投資ができます。

複数商品の購入が比較的容易であるのも、少額で投資できる不動産投資信託の魅力といえるでしょう。

一方で不動産投資信託のデメリットは以下のとおりです。

  • 投資法人が倒産するリスクがある
  • 投資法人が上場廃止になる
  • 不動産の所有ができない

 

〇投資法人が倒産するリスクがある

投資法人がキャッシュフローの悪化によって、資金の調達が困難となり倒産する可能性があります。

倒産した場合、投資法人が所有していた不動産を売却することで投資家に資金が戻されることがあります。ただし全額返金されるとは限りません。

 

〇投資法人が上場廃止になるリスクがある

投資法人が上場廃止基準に該当すると、上場廃止になります。上場廃止になった場合、整理銘柄になり価格が大きく下がる可能性があります。

実際には投資法人同士の合併によって上場廃止となる事例が多く、価値がゼロになる可能性は少ないです。しかし合併したあとの価格が不透明であることには変わりないでしょう。

 

〇不動産の所有ができない

不動産投資信託は物件を所有できないので、自分の投資した物件に住むことができません。

不動産投資では所有した物件に住むなどの投資+αの活用方法もありますが、不動産投資信託では難しいでしょう。

 

B.不動産投資のメリット・デメリット

不動産投資のメリットは以下のとおりです。

  • 月ごとの家賃収入がある
  • 生命保険として活用できる

 

〇月ごとの家賃収入がある

不動産投資の場合、基本的には月ごとに家賃収入があります。投資信託では基本的に年1、2回程度の分配金が収入となりますので、定期的な収入面においては不動産投資が安定しているといえるでしょう。

 

〇生命保険として活用できる

分譲マンション投資や戸建て賃貸投資等、比較的小規模な不動産投資の場合は、団体信用生命保険付きのローン商品を利用するケースが多いです。
団体信用生命保険とは返済中にローン契約者が死亡した場合、残りのローンを肩代わりしてくれるものです。

契約者本人が亡くなっても、家族に不動産資産と家賃収入を残せます。なかには3大疾病になったときの保障がついている保険もあり、生命保険としての活用も可能でしょう。

例えば、手取り換算で月の家賃収入が20万円、月のローン返済が15万円の場合は、返済期間中は月5万円の収入となります。ローン返済がなくなると月に20万円の収入が入ります。この収入分が家族に残せるということです。

したがって、団体信用生命保険付きのローンを利用しての不動産投資をする場合、既にご加入されている生命保険を、掛け金を落として補償を少ないものにするなど、見直しをしてみるのもいいでしょう。

〇不動産の所有ができる

前述のとおり、不動産投資では物件の所有が可能です。住まいとして活用するなど投資+αの活用方法も可能です。

不動産投資のデメリットは以下のとおりです。

  • 売買時に手間がかかる
  • リスクコントロールを行う必要がある

 

〇売買時に手間がかかる

不動産投資信託にくらべて、売買に手間がかかります。売買契約を結ぶだけでなく、ローンの申し込みや抵当権の設定、移転登記など多くの手続きが必要です。また、手続きにかかる諸費用も把握しなければなりません。

 

〇リスクコントロールを行う必要がある

投資信託のように、投資法人の倒産や上場廃止のようなリスクが少ない分、自身でリスクコントロールを行う必要があります。
例えば物件選びに失敗すると空室が目立ち家賃収入が減少したり、修繕費用がかさむ場合があるでしょう。

「買わなければよかった」と後悔しないように、物件価格の変動をこまめに確認し、不動産会社とのコミュニケーションをとって情報収集に努めましょう。

 

C.不動産投資信託と不動産投資、それぞれに向いている人とは

不動産投資信託は以下の人に向いています。

  • 少額から投資を始めたい人
  • 投資を手軽に始めたい人

少ない資金でも始められる不動産投資信託は、高額投資が怖い初心者にはおすすめといえるでしょう。
また、不動産を実際に所有しないので管理などの手間は比較的少なく、手軽に始めやすいといえます。

不動産投資には以下の人が向いているでしょう。

  • 安定した収入を得たい人
  • 自分で不動産の運用や管理をしたい人
  • レバレッジをきかせ現状の資産以上の資産運用をしたい人

月ごとの家賃収入がありますので、定期的な収入を得ることはでき、現在の低金利を利用して金融機関から融資を受けることにより実資産以上の資産運用が可能です。
また、投資信託と比べて直接不動産の運営や管理に携わる機会が多いといえます。
空率リスクを減らしたり、修繕計画をたてたりとやりがいを感じるのが魅力でしょう。

不動産投資信託・不動産投資どちらを始めるにせよ、メリットやデメリットをしっかり押さえて、自分がどちらの投資方法に適しているのかを考えましょう。